「マネジメント」と「リーダーシップ」は異なる概念である。しかし、日本ではこの二つが曖昧(ごっちゃ)に使われがちだ。マネジメントは業務や人を管理することを指し、リーダーシップは人の影響力によって組織を動かす力と認識するのが適当ではなかろうか。役職とは無関係に発揮できるリーダーシップの価値を再認識し、なぜ日本ではリーダーシップが育ちにくいのか、その根本原因を探る。さらに、従来の「管理」という発想が、現代のビジネス環境で機能しなくなっている理由についても解説する。
マネジメントとリーダーシップの本質的な違い
「マネジメント」と「リーダーシップ」は、しばしば同義のように扱われるが、本質的には異なる概念である。マネジメントは業務や人の管理を意味し、リーダーシップは影響力によって人々を導く力を指す。どちらが優れているかではなく、企業の成長や組織の持続的な発展のためには、両方のバランスが重要になる。ここでは、それぞれの違いを具体的に見ていく。
マネジメント:業務と人を「管理」する役割
マネジメントは、組織の目標を達成するために業務プロセスやリソースを最適化する役割を担う。主に以下の要素が含まれる。
つまり、マネジメントの主な目的は「計画通りに物事を進めること」であり、業務効率や組織の安定性を重視する。そのため、短期的な成果を求める組織では、マネジメントの力が強く発揮されやすい。
リーダーシップ:影響力によって人を動かす力
一方で、リーダーシップとは「影響力を発揮して人々を導く力」を意味し、役職に関係なく誰でも発揮できるものだ。リーダーシップの要素としては以下が挙げられる。
リーダーは、決して命令や管理によって人を動かすのではなく、その影響力によって人々が自発的に動く環境を作り出す。そのため、長期的な視点で組織を成長させるには、リーダーシップが不可欠であり、とくに中小企業で求められる力(人材)である。
日本の組織でリーダーシップが育たない理由
日本の多くの企業では、リーダーシップを発揮する人材が少ないと言われるが、それはなぜか?その背景には、日本独自の組織文化と評価制度が関係していると考察する。
上司の言うことを聞くことが「評価される」文化
日本企業では、「指示に従うこと」が評価の基準になりやすい。上司の指示通りに動く部下が「優秀」とされるため、自発的に行動するよりも、指示を待つ方が得策となる。その結果、次のような問題が生じる。
共依存の関係が組織を硬直化させる
マネジメント側も、「言うことを聞く部下が優秀」と評価することで、リーダーシップの芽を摘んでしまう。上司も部下も、「上司の指示通りに動くことが最適な選択」という共依存の関係が形成され、組織全体が硬直化してしまう。
「管理する」という概念の限界
そもそも、「人を管理する」という発想自体が時代遅れである。人は機械ではなく、それぞれが意思と能力を持った存在だ。管理しすぎると、次のような弊害が生まれる。
人は資産であり、「管理」するものではない
従来のマネジメントの考え方では、「人件費」はコストとして計上され、機械や設備は資産として扱われる。しかし、これは本当に正しいのか?むしろ、人材こそが企業の最大の資産であり、その育成や活用は「投資」と考えるべきではないか。
「人材投資」という発想への転換
企業は、「人を管理する」のではなく、「人材に投資する」ことにシフトすべきである。具体的には、以下のような施策が求められる。
まとめ:管理から解放し、人の可能性を引き出せ
これまでの日本企業は、「マネジメント」に偏重しすぎていた。しかし、現代のビジネス環境では、単なる管理ではなく、「人の潜在能力を引き出すこと」が重要になっている。そのためには、以下の意識改革が求められる。
マネジメントは必要だが、それがすべてではない。リーダーシップを発揮できる環境を作ることで、組織はより柔軟で創造的なものへと変わっていく。人を管理する時代は終わり、人の力を最大限に引き出す時代へと進むべきである。
最後までお付き合いいただきありがとございます。
また、お会いしましょ。