ITの知識は多岐に渡る。中小企業のIT人材不足は、ITの知識をもった人材が不在ということを示唆することが多いようだが、どのような知識が必要とされているのであろうか。中小企業が求める(必要な)知識とはなにか?私の経験値より考察し、わかりやすく解説させていただく。
✅ IT人材ってどういう人なのか?
✅ 身近な専門家はITベンダー?
IT人材ってどういう人なのか?
IT人材不足と言われるが、このIT人材とはどういう人を指す表現なのだろうか?いろいろな解釈ができるだろう。わかりやすくするために、IT人材を医者に置き換えて考えてみる。
お医者さんとIT人材
お医者さんってどんな人なのか?医大を出て、国家試験に合格し…とか、そういうことではなく、シンプルに病院にいて病人の症状を診て治療を施してくれる人。それが、医者ということであろう。ただ、医者は全ての病状に精通し治療を施せるわけではない。
外科、内科、歯科、心臓外科、脳神経外科、心臓外科、放射線科、産婦人科、耳鼻科、皮膚科….様々な分野が存在する。だいたいのお医者さんは、この中で自分が専門とする分野の医師。つまり、専門医として従事している。
これに対比して、ITの場合は、ネットワーク、サーバ、アプリケーション、プログラミング、セキュリティ、インターネット、AI…等々、医療同様に様々な分野が存在する。ここには少し大きめなカテゴリの分類とさせてもらっているのだが、全てに精通しているIT人材はいないであろう。
では、一般的に言われるIT人材不足はどの分野なのか?中小企業で求めるIT人材とは何に精通している人なのか?これは、状況や事情によって求められる技能や知識が違うので、不足しているが、充足していることもあるという状態になるのではないか。全てに精通している人がIT人材なら、それは不足どころかほとんど存在しないであろう。
医療の世界でもスーパードクターと言われる人は、あらゆる分野に精通しているのではなく、特定の病状に対して突出したオペ技術を有するなど、そのような医者を指している。
求めるIT人材
中小企業ではどのようなIT人材が求められているのか?事業規模や業種、現在のIT環境により各社、様々な要件があるため、「***分野に精通したIT人材」と、決められないだろう。そもそも、自社が現在どのような状態なのか正確に把握している中小企業はほとんどない。
人間で言うと、自己診断ができずになんとなくの症状しかない状態で、どの診療科を受診するか決めようとしているようなものである。こういう時は、だいたい先ずは内科を受診するだろう。かかりつけ医がいたら相談するであろうし、総合診療科がある病院ならそこを受診することになる。
つまり、とりあえず受診できる場所…かかりつけ医的な存在が求められるIT人材ということになるのではないか。
身近な専門家はITベンダー
中小企業にとって、かかりつけ医のような存在…ITのことを気軽に相談できる相手は、出入りのITベンダーとなっていることが多い。複数のベンダーと取引をするよりも、自社のことをよくわかってくれているので、お任せできるから安心(IT専任者が不在であることも考慮して対応してくれるなど)との思いで、信頼関係が構築されていると思われる。
にも関わらず、IT人材が不足していると感じるのは、ITベンダーはかかりつけ医となっていないのだろうか?
そう!これはなり得ないのだ。医者は病人の治療を目的とするための存在であり、何かを販売したりすることはない。だが、ITベンダーは製品やサービスを販売することを目的としている存在であり、ITの悩みや問題を解決する存在ではないのだ。何か相談しても、こういう製品があります。これを導入するとクリアできますよ。と、ベンダー側に利益がある提案をしてくることになる。
これが続くと、ホントにその提案を受けることが適切なのか?適正な価格で導入しているのだろうか?と、別の意味でITの悩みが出てくるのだ。
客観的な第三者で診てくれる存在
ITベンダーが信頼できないということではなく、時には第三者の視点から自社の導入しているものが適正で、価格の妥当性なども評価して欲しいということになるであろう。(特定のベンダーにお任せしているという状況が続いてると、このような不安というか想いは出てくる)誰がその評価を下せるのだろうか。そのためには、どのようなIT知識が必要となるのだろうか。
まず、誰が?の答えは、ITベンダー以外の立場にいる人。ということになる。製品やサービスの販売を目的としない人でなければ、アドバイスが自分の利益誘導になりかねないからだ。第三者の立場は、販売を目的としない人が最適ということになる。
必要なIT人材の知識
身近にいるIT知識を有する存在はITベンダーなのだが、第三者的な立場ではないため、かかりつけ医的な存在にはなり得ないので、まったくの第三者が適切だと整理できた。その第三者に求めるIT知識とはどのようなものなのか。中小企業は何を求めているのか?
これが知りたいのだとしたら、IT製品の幅広い知識と、IT業界についても知っていなければ根拠ある判断を下すことはできない。そう考えると、中小企業で求めるIT人材とは、IT業界に従事した経験があり、今は製品の販売などをする立場にいない人。ということになるであろう。
まとめ
医療に置き換えながら、解説をしてきたが中小企業の経営者との会話で感じとれる、必要とするIT人材とは以下に集約される。
IT人材というよりは、ITのことをなんでも聞ける存在(窓口)が求められているということになるのではないか。相談した答えが、製品やサービスへの誘導ではなく、しっかりした根拠があってIT知識がなくても理解できるような説明をしてくれる存在が求められているのだ。こういう存在が、中小企業の経営者のITの悩みを解決する一助となる。
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最後までお付き合いくださりありがとうございました。ちょっと宣伝っぽくなってしまい申し訳ございません。
また、お会いしましょ。