【総集編】中小企業向けセキュリティ対策の正解とは?過去記事から学ぶ最新実践知識

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サプライチェーンを狙うサイバー攻撃が巧妙化し、今や中小企業も直接的な標的となる時代。2025年6月現在、情報セキュリティ対策は「やるべきこと」から「やらなければならないこと」へと完全にフェーズが変わった。だが一方で、IT人材不足や予算の制約といった現実的な課題に直面している中小企業にとって、ベンダーの提案する高額ツールの導入は必ずしも最善の解ではない。本稿では、「低コスト」「効果的」「IT初心者でも理解できる」ことを条件に、2025年現在の中小企業に最もフィットするセキュリティ対策の思考法を過去にアップした記事を総括するカタチでまとめてみたので参考にしていただきたい。

2025年現在のサイバーリスクと、それに対峙するための「現実的」な対策とは何か?ここでは、無理なく始められる取り組みを整理する。

セキュリティ対策は「ツールありき」で考えてはいけない

情報収集からスタートしては失敗する。多くの経営者がやってしまいがちなのが、まず「何があるのか」をググってしまうことだが、これは誤りだ。誤りというかやめていただきたい。

なぜなら、検索結果の多くは販売側のプロモーションであり、「自社にとっての適切な解」ではないからだ。ここで重要なのは、まず「自社の状況を把握する」こと。自社はどこに脆弱性を抱えているのか、何に不安を持っているのか。ここを明らかにせずにツールの選定に入るのは、地図を持たずに登山するようなものだ。

IPAが示す「5か条」は、実は極めて実践的

「OSやソフトウェアは常に最新にする」「ウイルス対策ソフトを導入する」「パスワードを強化する」「共有設定を見直す」「脅威や攻撃の手口を知る」――IPAのセキュリティ対策ガイドラインにあるこの5か条は、一見すると初歩的すぎるように思える。しかし、これすら実行できていない中小企業が多い。実はこの5つを徹底するだけで、かなりのリスクを回避できる。

たとえばUTMやファイアウォールの導入。導入自体は意味があるが、それを適切に設定・運用できる人材がいなければ無意味どころかリスクを増幅する。アップデートもされず、ログも確認されないまま放置されている例は山ほどある。これが「ツールがあっても、運用できないと意味がない」典型例である。

働き方改革と感染症の影響を受けて加速したリモートワーク。そこに潜むセキュリティリスクとその本質を見極める。

VPN導入が「安全」ではないという事実

多くの中小企業が導入しているVPN。しかし、その意味や仕組みを理解していないまま「導入しているから大丈夫」と誤認している経営者が多い。VPNは万能ではなく、むしろ狙われやすい。VPNの脆弱性を突いたサイバー攻撃は、今や一般的である。

「わかりやすさ」はセキュリティの第一歩

技術的な言葉を並べられても、多くの経営者には理解できない。これは恥ずかしいことではないが、逆に「理解できないまま任せる」ことが最大のリスクである。たとえば、VPNを「公共の場での会話を個室で行う仕組み」と例えることで、その本質が初めて伝わる。提案された内容を例え話で説明できないベンダーは要注意である。

「SOCお助け隊」の活用はコスパの高い対策

SOC(セキュリティオペレーションセンター)サービスを活用することで、自社に専門家がいなくてもセキュリティ監視が可能になる。中小企業にとっては、むしろ導入のハードルが低く、効果が大きいサービスである。月額数万円からのプランも存在し、コストパフォーマンスの高い対策と言える。

「ITは経費ではなく投資である」この言葉を正しく理解し、自社にとって意味ある投資を見極める目を養う。

「IT顧問のススメ」是非、ご一読ください。
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セキュリティ対策で最も大事なのは「目的の明確化」

セキュリティ対策を導入する理由、それによって守りたい資産やリスクを明確にしておくこと。これがないまま導入されたツールは、間違いなく「金をドブに捨てる」ことになる。

専門家の意見=セカンドオピニオンの重要性

ベンダーの提案を鵜呑みにせず、第三者の視点で判断を仰ぐこと。医療と同じく、ITでもセカンドオピニオンは非常に有効。販売や開発をしない独立系のITアドバイザーを活用すれば、営業トークに惑わされることもない。

サイバー保険の活用で「確実な安心」を

100%の防御は不可能。だからこそ、もしもの時の備えとしてサイバー保険は有効である。損害賠償やデータ復旧費用の補填など、経営のリスクヘッジとして活用すべきだ。

情報セキュリティ対策は「コスト」ではない。信頼の維持、取引継続の条件、レピュテーションリスクの回避…すべてが売上の土台を支えている。中小企業の経営者は、「何を導入するか」よりも「なぜ導入するか」「どう運用するか」を軸に意思決定をすべきである。そして、その判断には専門家のアドバイスが不可欠である。IT顧問、SOCサービス、セカンドオピニオンなど、経営者の右腕となる存在を味方につけることが、2025年現在の最も合理的なセキュリティ戦略である。

最後までお付き合いいただきありがとうございます。
また、お会いしましょ。